Salesforceの導入サポート、開発・連携を行う(株)FDCのエンジニアチームが、Salesforce APIの最新バージョンとその確認方法について詳しく解説します。
2025年12月現在、Salesforce APIは年に3回のメジャーリリースごとに更新されており、最新バージョンはWinter ’26リリースに対応したバージョン65.0となっています。
本記事では、Salesforce初心者の方でもわかりやすく、最新APIバージョンの特徴や確認方法、さらには旧バージョンの廃止に関する重要な情報をお伝えします。


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Salesforce APIバージョンの基礎知識

APIバージョンとは

Salesforce APIバージョンとは、Salesforceプラットフォームが提供するAPIの機能やインターフェースを識別するための番号です。各バージョンには、新しい機能の追加、既存機能の改善、セキュリティの強化などが含まれています。

Salesforceでは、年に3回のメジャーバージョンアップが実施されており、それぞれSpring(2月頃)、Summer(6月頃)、Winter(10月頃)にリリースされます。

APIバージョンのリリーススケジュール

2025年のSalesforce APIバージョンのリリーススケジュールは以下の通りです。

リリース名 APIバージョン リリース時期
Spring ’25 63.0 2025年2月
Summer ’25 64.0 2025年6月
Winter ’26 65.0 2025年10月

2025年12月時点の最新APIバージョン:Winter ’26(65.0)

Winter ’26の主な特徴

2025年12月現在の最新APIバージョンは65.0(Winter ’26)です。このバージョンでは、開発者向けに多数の機能強化が実施されています。

Winter ’26リリースは、2025年9月からサンドボックス環境で展開が開始され、10月には本番環境へのロールアウトが完了しました。[出典:Salesforce Developer Blog]

Winter ’26(API 65.0)の主要な更新内容

  • Lightning Web Components(LWC)の機能強化:Lightning Out 2.0の導入により、外部アプリケーションへのLWC埋め込みが可能に
  • Apexの改善:Test Discovery and Test Runner APIsの統合により、ApexとFlowのテストが一元管理可能に
  • Metadata APIの更新:デプロイメントステータスに「Finalizing Deploy」と「Finalizing Deploy Failed」の2つの新しい状態を追加
  • SOAP API login()の廃止:APIバージョン65.0以降ではSOAP login()が利用不可に
  • Agentforceの強化:Agentforce DXツールの拡張により、Salesforce CLIからエージェントの作成とテストが可能に

重要な廃止情報

Winter ’26(API 65.0)では、SOAP API login()が正式に廃止されました。このバージョン以降、login()を呼び出すとHTTPステータスコード500とUNSUPPORTED_API_VERSIONの例外コードが返されます。

ただし、APIバージョン31.0から64.0では、Summer ’27リリースまでSOAP login()の使用が可能です。Summer ’27のリリース後は完全に利用できなくなるため、外部クライアントアプリケーションを使用した認証方式への移行が必要です。[出典:Salesforce Help]

Salesforce APIバージョンの確認方法

組織全体のAPIバージョンを確認する方法

Salesforce組織で利用可能な最新のAPIバージョンを確認する手順は以下の通りです。

  1. Salesforceにログインし、「設定」画面にアクセスします
  2. クイック検索ボックスに「API」と入力します
  3. 「インテグレーション」配下の「API」を選択します
  4. 「Enterprise WSDLの生成」をクリックします
  5. 「生成」ボタンをクリックすると、XMLファイルが表示されます
  6. XMLファイルの上部コメントアウト部分に、現在のAPIバージョンが記載されています

Apexクラスで使用されているAPIバージョンを確認する方法

個別のApexクラスやトリガーで使用されているAPIバージョンを確認するには、以下の手順を実行します。

  1. 「設定」から「クイック検索」ボックスに「Apexクラス」と入力します
  2. 「Apexクラス」を選択します
  3. 確認したいクラス名をクリックします
  4. 「バージョン設定」タブをクリックすると、使用中のAPIバージョンが表示されます

この方法により、各Apexクラスが個別に設定されているAPIバージョンを確認できます。[出典:Salesforce Help]

Flowで使用されているAPIバージョンを確認する方法

Flowで実行されるAPIバージョンは、フローの設定画面から確認できます。フロービルダーでフローを開き、設定アイコンからAPIバージョンの項目を確認してください。APIバージョン49.0以降では、正確なバージョン番号が表示されるようになっています。

旧APIバージョンの廃止に関する重要情報

Summer ’25でのAPI 21.0~30.0の廃止

2025年6月のSummer ’25リリースにおいて、Salesforce Platform APIバージョン21.0から30.0が正式に廃止されました。これは2021年にSalesforceが発表した包括的なAPI廃止計画の一環です。

当初はSummer ’23での廃止が予定されていましたが、お客様の移行準備期間を考慮してSummer ’25に延期されました。廃止されたAPIバージョンを使用しているアプリケーションは、現在動作しなくなっています。[出典:Salesforce Help]

影響を受けるシステムの確認方法

Summer ’25リリースに向けて、Salesforceは組織内で廃止対象のAPIバージョンを使用しているコンポーネントを特定するための2つの新しいツールを提供しました。

  • API Usage Explorer:組織内のAPIコールを可視化し、廃止対象のバージョンを使用している統合を特定
  • Setup Warnings:設定画面に警告を表示し、更新が必要なコンポーネントを通知

これらのツールを活用することで、廃止の影響を受ける可能性のあるシステムを事前に把握できます。[出典:Salesforce Developer Blog]

APIバージョンを更新する際の注意点

互換性の確認

APIバージョンを更新する際は、既存のコードや統合が新しいバージョンで正常に動作するか、十分なテストを実施することが重要です。特に以下の点に注意してください。

  • 廃止された機能やメソッドが使用されていないか確認する
  • 新しいバージョンで動作が変更された機能がないか確認する
  • サンドボックス環境で十分なテストを実施してから本番環境に適用する

段階的な移行アプローチ

大規模なシステムでAPIバージョンを更新する場合は、段階的な移行アプローチを推奨します。まず影響範囲の小さいコンポーネントから更新を開始し、問題がないことを確認してから順次範囲を拡大していく方法が安全です。

リリース更新機能の活用

Salesforceの「リリース更新」機能を使用すると、組織に影響を与える可能性のある変更を事前にテストできます。「設定」メニューから「リリース更新」を検索し、APIバージョンに関連する更新項目を確認しましょう。

APIバージョン管理のベストプラクティス

定期的なバージョン確認

Salesforceのメジャーリリースは年3回実施されるため、定期的にAPIバージョンを確認し、最新の状態に保つことが重要です。特にApexクラスやトリガー、外部システムとの統合部分については、四半期ごとにバージョンをチェックする習慣をつけましょう。

ドキュメントの維持管理

組織内で使用しているAPIバージョンの一覧表を作成し、各コンポーネントがどのバージョンで動作しているかを把握できるようにドキュメント化することをお勧めします。これにより、廃止の影響範囲を迅速に特定できます。

Salesforce CLIの活用

Salesforce CLI(Command Line Interface)を使用すると、APIバージョンの設定や確認を効率的に実施できます。特に複数の組織を管理している場合、CLIを使用したバッチ処理により作業時間を大幅に短縮できます。

APIバージョンはローカル設定変数(sf config set org-api-version=65.0)を使用して設定できます。また、環境変数SF_ORG_API_VERSIONでも指定可能です。[出典:Salesforce Developer Documentation]

まとめ:最新のSalesforce APIバージョンを活用しよう

いかがだったでしょうか、今回はSalesforce APIの最新バージョンについて詳しく解説してきました。

この記事を読むことで、ある程度は最新バージョンについてや確認方法についてご理解いただけたと思いますが、やはりエンジニア領域のこともあり、自社内では難しそうだな、と感じられている方もいらっしゃるかもしれません。

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