この記事ではSalesforceの導入サポート、開発・連携を行う(株)FDCのエンジニアチームが、SalesforceのAPIを活用した外部システム連携について詳しく解説いたします。
現代のビジネス環境では、Salesforceと他システムとの連携によってデータの一元管理と業務効率化を実現することが重要です。
本記事では、Salesforce APIの種類から実装方法まで、マーケティング初心者でも理解しやすく解説しますのでぜひ最後まで読んでみてください。

- Salesforce APIとは何か
- Salesforce APIを使った12つの外部連携方法
- 1. REST APIによる基本的なデータ連携
- 2. SOAP APIによる企業レベルの統合
- 3. Bulk API 2.0による大量データ処理
- 4. Connect REST APIによるソーシャル機能連携
- 5. Apex REST APIによるカスタムロジック実装
- 6. Analytics REST APIによるデータ分析連携
- 7. GraphQL APIによる効率的なデータ取得
- 8. User Interface APIによるカスタムUI構築
- 9. Tooling APIによる開発プロセス自動化
- 10. Metadata APIによる設定管理
- 11. Pub/Sub APIによるリアルタイムイベント処理
- 12. Apex SOAP APIによる高度なカスタム統合
- Connected Appの設定方法
- 主要な外部システムとの連携事例
- API連携時の注意点と制限事項
- 実装における推奨事項
- まとめ
Salesforce APIとは何か
APIとは、Application Programming Interfaceの略で、異なるソフトウェア間でデータをやり取りするための仕組みです。SalesforceのAPIを使用することで、外部システムからSalesforceのデータにアクセスしたり、逆にSalesforceから他のシステムにデータを送信したりできます。
2025年現在、Salesforceでは12種類のAPIが提供されており、それぞれ異なる目的や用途に最適化されています。これらのAPIを適切に選択し活用することで、業務プロセスの自動化やデータの統合が可能になります。
Salesforce APIを使った12つの外部連携方法
1. REST APIによる基本的なデータ連携
REST APIは、最も汎用的で使いやすいAPIとして広く活用されています。JSON形式とXML形式の両方に対応し、HTTPメソッドを使用してデータの取得、作成、更新、削除が可能です。
- 顧客情報の自動同期
- リアルタイムでのデータ更新
- 外部Webアプリケーションとの連携
- モバイルアプリとのデータ統合
2. SOAP APIによる企業レベルの統合
SOAP APIは、XML形式を使用した厳密な仕様に基づくAPIで、エンタープライズレベルのシステム統合に適しています。高いセキュリティと信頼性を提供します。
3. Bulk API 2.0による大量データ処理
Bulk API 2.0は、1,000件から100万件規模のデータを効率的に処理するために設計された非同期APIです。大規模なデータ移行やバッチ処理に最適です。
API種類 | データ形式 | 最適な用途 | 処理方式 |
REST API | JSON, XML | リアルタイム連携 | 同期 |
SOAP API | XML | エンタープライズ統合 | 同期 |
Bulk API 2.0 | CSV | 大量データ処理 | 非同期 |
4. Connect REST APIによるソーシャル機能連携
Connect REST API(Chatter API)は、Salesforceのソーシャル機能を外部システムと連携させるためのAPIです。コミュニティプラットフォームとの統合に活用されます。
5. Apex REST APIによるカスタムロジック実装
Apex REST APIを使用することで、独自のビジネスロジックを実装したカスタムAPIを作成できます。複合主キーの管理や複雑なデータ処理に対応します。
6. Analytics REST APIによるデータ分析連携
Analytics REST APIは、Salesforce内のレポートやダッシュボードデータを外部のBIツールと連携させるためのAPIです。データ分析の幅を大幅に拡張できます。
7. GraphQL APIによる効率的なデータ取得
GraphQL APIは、1回のリクエストで必要なデータのみを取得できる革新的なAPIです。従来のREST APIと比較して、データ転送量を大幅に削減できます。
8. User Interface APIによるカスタムUI構築
User Interface APIは、Salesforceの外部でカスタムユーザーインターフェースを構築するためのAPIです。モバイルアプリやWebアプリケーションの開発に活用されます。
9. Tooling APIによる開発プロセス自動化
Tooling APIは、Salesforceのメタデータをプログラムで操作するAPIです。CI/CDパイプラインの構築や自動デプロイに不可欠です。
10. Metadata APIによる設定管理
Metadata APIは、Salesforceの設定やカスタマイズを一括管理するためのAPIです。環境間での設定移行や大規模な設定変更に活用されます。
11. Pub/Sub APIによるリアルタイムイベント処理
Pub/Sub APIは、イベント駆動型アーキテクチャを実現するAPIです。Salesforce内外でのリアルタイムなデータ同期を可能にします。
12. Apex SOAP APIによる高度なカスタム統合
Apex SOAP APIは、XML形式でカスタムロジックを提供するAPIです。エンタープライズレベルでの複雑な統合要件に対応します。
Connected Appの設定方法
Salesforce APIを使用するためには、Connected App(接続アプリケーション)の作成が必要です。以下の手順で設定を行います:
- Salesforce設定画面から「アプリケーション」→「アプリケーションマネージャ」を選択
- 「新規接続アプリケーション」をクリック
- 基本情報(アプリケーション名、API名、連絡先メール)を入力
- OAuth設定を有効化し、必要なスコープを選択
- コールバックURLを設定
- 保存後、コンシューマーキーとコンシューマーシークレットを取得
主要な外部システムとの連携事例
MAツールとの連携
マーケティングオートメーション(MA)ツールとSalesforceのAPI連携により、リードの自動管理と営業プロセスの効率化を実現できます。
- リード情報のリアルタイム同期
- スコアリング結果の自動反映
- キャンペーン効果の統合分析
ERPシステムとの連携
ERPシステムとの連携により、販売から会計までの業務プロセスを一元管理できます。受注データの自動連携や在庫情報の同期が可能です。
BIツールとの連携
Tableau、Power BI、Lookerなどのビジネスインテリジェンスツールとの連携により、高度なデータ分析と可視化を実現できます。
API連携時の注意点と制限事項
API利用制限について
Salesforceでは、システムの安定性を保つため以下の制限が設けられています:
制限の種類 | 内容 | 対策 |
同時API要求制限 | 同時実行可能なAPIリクエスト数 | リクエストの分散処理 |
API監視制限 | 短時間でのリクエスト数制限 | 適切な間隔での実行 |
日次API要求制限 | 1日あたりのAPIコール数上限 | Bulk APIの活用 |
エディション別のAPI利用可否
Essential EditionやGroup EditionではAPI利用ができないため、事前にエディションの確認が必要です。Professional Editionでは追加契約により利用可能となります。
実装における推奨事項
適切なAPIの選択
データ量や処理方式に応じて最適なAPIを選択することが重要です:
- 少量のリアルタイムデータ:REST API
- 大量データの一括処理:Bulk API 2.0
- イベント駆動型処理:Pub/Sub API
- カスタムロジック:Apex REST API
セキュリティ対策
API連携では、OAuth 2.0認証の適切な実装とアクセストークンの安全な管理が不可欠です。定期的なトークンの更新と最小権限の原則を守りましょう。
まとめ
SalesforceのAPIを活用することで、様々な外部システムとの連携を実現し、業務効率化とデータの統合管理が可能になります。12種類のAPIはそれぞれ異なる特徴を持ち、用途に応じた適切な選択が成功の鍵となります。
Connected Appの設定から実際の実装まで、計画的なアプローチと適切なAPI制限の理解が重要です。また、セキュリティ対策を徹底し、継続的なメンテナンスを行うことで、安定したシステム連携を維持できます。
この記事でご紹介したようにAPI連携やSaleforceのカスタマイズには知見やリソースが必要となります。弊社(株)FDCの「SFSolution」ならSalesforceの導入サポート、開発・連携を提供することが可能です。この記事を読んでSalesforceの拡張機能やデータ管理に興味を持たれた方は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社のビジネスに最適な活用術をご提案します。
