営業プロセスとは、顧客と商談が成立するまでの一連の流れを意味します。

営業プロセスを可視化するためには、フロー図を用いるのが一般的です。

この記事では営業プロセスを可視化するメリットやフロー図の事例、具体的なフロー図の作成方法を解説します。

有用なフレームワークやITツールも紹介するので、営業チームの強化、売上率アップを目指す方は参考にしてみてください。

営業プロセスとは

営業プロセスとは

営業プロセス(セールスプロセス)とは営業活動の過程・手順・方法を整理して、可視化したものです。

各工程で目標や行動指針を明確にすれば、ボトルネックが見つかったり営業活動の効率を高められたりします。

実際にハーバード・ビジネス・レビューの調査によると、標準化された営業プロセスを導入している企業は、導入していない企業より収益が最大28%も高いのです。

参考:正式な販売プロセスを持つ企業はより多くの収益を生み出す|HBR

近年はデジタルツールが普及したこともあり、営業プロセスを見直す企業が増えています。

自社の営業活動の最適解を見つけて、営業パフォーマンスの向上および収益アップを目指しましょう。

BtoBの営業プロセス

企業対企業の場合、営業プロセスは受注して終わりではなく継続的な取引にもつながります。

企業が取り扱う製品・サービスは高額になることから、検討時間が長くなりやすく営業プロセスも多くなるのが一般的です。

企業の規模が大きいと製品・サービスの利用者や決裁者、担当窓口などが複数人になり、成約まで複数回の商談を重ねることになります。

BtoCの営業プロセスとの違い

企業対消費者の営業プロセスはBtoBより営業プロセスが短くなりやすく、即決のケースもあります。

具体的なBtoCの事例は自動車や保険、不動産などです。

BtoCの営業活動では、最初に接触する人が決裁者になりやすい点もBtoCと異なります。

フロー図とは?

フロー図はフローチャート・流れ図とも呼ばれ、業務やプログラムのアルゴリズムを示す図のことです。

一般的なフロー図は長方形や円形、ひし形など多種多様な図形に用いて、矢印でつなぎ合わせます。

フロー図はシンプルな構造なので誰でも理解しやすく、汎用性が高いのが特徴です。

近年ではプロジェクトの高度化や業務プロセスの複雑化に伴い、フロー図が使われる場面が増えています。

営業プロセスを可視化するメリット

営業プロセスを可視化するメリット

営業活動を標準化できる

営業プロセスの可視化は、営業活動の標準化につながるのがメリットです。

標準化とは手順や評価方法などを統一して、認識を統一することを意味します。

標準化された営業プロセスに基づいて適切な営業活動を行い、成約率を高めましょう。

人材育成に活用できる

一般的に、営業プロセスは優秀な営業担当者をモデルにして作成するため、そのまま人材育成に活用できます。

「ヒアリングでは何を確認するか」「受注確度はどうしたら高まるか」などが明確になるので、理解が進みやすく教育時間の削減につながります。

特に新人や異業種から転職した営業担当者は、業務効率が大きく改善されるはずです。

部門間の連携がスムーズになる

営業プロセスを可視化すると、部門間の連携がスムーズになります。

なぜなら案件の進捗度合いやボトルネック、営業ノウハウなどが明確になるからです。

カスタマーサポート部門を例に挙げると、顧客に対するアプローチや対応に一貫性が保たれ、顧客満足度の向上につながります。

営業プロセスのフロー図の一例【BtoB・BtoC】

【IT企業】BtoB営業プロセスの基本のフロー図

IT企業のA社が自社のチャットツールを販売する場合、営業プロセスのフロー図は次のようになります。

展示会アポ獲得ヒアリングデモ案内見積もり契約締結顧客サポート

上記の営業プロセスの詳細は、次の通りです。

展示会企業のDX化・生産性向上をテーマにした展示会に出展する
アポ獲得新規リードを獲得する
ヒアリングビデオ通話やメールで企業の課題・ニーズを調査する
デモ案内無料でチャットツールを活用してもらい、課題解決に役立つかを確認してもらう
見積もりトライアル終了後に見積もりを提示する
契約締結見積もりに納得してもらえれば契約・納品を行う
顧客サポート継続的に使い方をレクチャーしたりトラブルに対応したりする

【不動産】BtoC営業プロセスの基本のフロー図

不動産業者のA社が一般消費者にマンションを販売する場合、営業プロセスのフロー図は次のようになります

来店ヒアリング物件提案内見契約締結

BtoB営業プロセスと比較して、BtoC営業プロセスが短いことがわかります。

なお上記の営業プロセスの詳細は、次の通りです。

来店HPなどの問い合わせをきっかけに、消費者が来店する
ヒアリング日当たりや間取りといった希望条件をヒアリングする
物件提案消費者の希望条件を満たす物件を何軒か紹介する
内見実際に内見を行って、購入の検討を促す
契約締結契約条件に同意を得たら契約を締結する

営業プロセスのフロー図の作成方法

前述した「【IT企業】BtoB営業プロセスの基本のフロー図」をもとに、具体的なフロー図の作成方法を解説します。

まずは営業ステージを営業プロセスに分解し、図解化させましょう。

次に具体的な営業活動をリストアップして、フロー図に落とし込みます。

各営業プロセスでは、「どのような手法」「営業ツールを活用しているか」に着目してみてください。

営業活動が属人化している場合は、各担当者へのヒアリングが必要です。

営業ステージ・営業プロセス・営業活動を記載したフロー図は、次のようになります。

営業ステージ見込み客の獲得見込み客の育成見込み客の育成見込み客の育成商談化受注顧客維持
営業プロセス展示会アポ獲得ヒアリングデモ案内見積もり契約締結顧客サポート
営業活動アプローチ製品カタログ、紹介動画、アンケート電話、メール提案書、対面提案トライアル提案書、対面提案見積書、対面提案セミナー、活用事例、サポートデスク

最後に、プロセスごとのKPIの数値目標を設定します。

KPIとは業務の目標達成状況を測る指標のことです。

KPIは各プロセスの成果を適切に測定して、課題の発見・改善につなげるために欠かせない指標といえます。

営業プロセスで活用されるフレームワーク

BANT条件

BANT条件はBtoB営業で、顧客のニーズを把握するために用いるフレームワークです。

BANTは「B:予算」「A:決裁権」「N:ニーズ」「T:導入時期」を表し、各項目をヒアリングすることで早期に案件の優先度や受注確度を確認できます。

DMUマップ

DMUマップは、顧客の意思決定関与者を理解するためのフレームワークです。

DMUマップを用いれば、商談時に「誰に・どんな提案をすべきか」が明確になります。

FABE分析

FABE分析は、提案段階のプレゼンテーションに活用できるフレームワークです。

「F:特徴」「A:利点」「B:便益」「E:証拠」を意味し、FABEの順番通りに提案することで分かりやすく伝えられます。

タスク管理ツールを例にしたFABE話法は、次の通りです。

F:特徴このタスク管理ツールはクラウドに対応しています
A:利点インターネット環境さえあればどこでも利用できます
B:便益出先でも気軽にタスクの進捗度合いを確認できます
E:証拠導入企業数は10万社を超えていて、喜びの声をいただいています

SFAを活用すれば営業パフォーマンスが向上する

SFAを活用すれば営業パフォーマンスが向上する

SFAは「Sales Force Automation」の略語で、日本語では営業支援システムと呼ばれるツールです。

顧客情報や商談の進捗状況、営業担当者の行動を見える化して、業務改善に役立てることができます。

さらに顧客情報や営業プロセスをリアルタイムで共有できるため、各担当者に適切な指示を送ったり支援ができたりします。

SFAで優秀な営業ノウハウを蓄積して、豊富な知見や経験をもとに営業部門全体のパフォーマンスを底上げしましょう。

まとめ

営業プロセスの可視化には、フロー図を用いて誰でも分かりやすくすることが重要です。

可視化されることで課題解決や営業活動の効率化、売上率アップに期待できます。

「属人化を脱却したい」「営業プロセスを標準化したい」という方は、ぜひSFA(営業支援システム)の活用も視野に入れてみてください。