近年、新しいマーケティング手法として注目されているのが、アドボカシー・マーケティングです。

例えば、スーパーで買い物をしている際に「そのリンゴは形が悪いからおまけするよ」といったようなやり取りを見たことはありませんか。

アドボカシー・マーケティングは顧客と正面から向き合い、商品・サービスの良いところ・悪いところを曝け出す手法のことです。

この記事ではアドボカシー・マーケティングの重要性と現代にマッチする理由、実施する際のポイントを解説します。

実際の成功事例もお伝えするので、更なる顧客獲得を目指す方はぜひ最後までご覧ください。

アドボカシー(Advocacy)・アドボケイト(Advocate)とは?

アドボカシー(Advocacy)・アドボケイト(Advocate)とは?

アドボカシーとは「支持」「擁護」「代弁」を表し、アドボケイトはアドボカシーを実践する「支持者」や「擁護者」という意味です。

介護や看護、福祉の現場においては、権利主張のできない障害者や寝たきりの人、子どもなどに変わって権利を主張する人として使われます。

他にも人権問題や環境問題に関する発言もアドボカシー活動の一環で、さまざまな使い方がされています。

なお、アドボケイトはアドボケーターと呼ばれることもありますが、意味は変わりません。

アドボカシー・マーケティングの重要性

アドボカシー・マーケティングの重要性

アドボカシー・マーケティングとは顧客のことを最優先に考え、長期的に信頼関係の構築を目指して徹底的に顧客本位のサービスを提供する手法です。

顧客が不利益を被る場合には他社の商品・サービスを勧めるなど、従来のマーケティング活動とは一線を画すケースもあります。

企業の支持者になってくれた顧客は商品・サービスを買ってくれるだけでなく、自発的に商品・サービスの良いところを発信してくれます。

実際に使用した商品・サービスを広めてくれることで、説得力が高まり顧客の獲得にもつながりやすいのです。

仮に企業が業績不振や値上げに踏み切ったとしても、アドボケイトは離れるどころか積極的に商品を購入して応援してくれるケースもあるほどです。

昨今、ほとんどの消費者は、インターネットやSNSの商品レビュー・口コミを参考にして、購入の意思決定を行います。

アドボカシー・マーケティングは商品・サービスが売れるための手段として、非常に重要な意味を持つのです。

アドボカシー・マーケティングを行うメリット

適切なアドボカシー・マーケティングは、企業に次のようなメリットをもたらします。

  • 顧客満足度や信頼性が向上する
  • 口コミで認知度がアップする
  • 広告費を削減できる

顧客を最優先した提案を行うことで熱い支持を受けられ、解約数の減少や持続的にサービスを利用してもらえるのです。

また、ファンが広告塔の役割を果たしてくれるので、広告費が削減され、企業以上に信憑性が高い情報を発信してもらえます。

自社の認知度・売上アップにつながれば、ブランド力が強化され新しいビジネスを展開するという好循環が生まれるでしょう。

アドボカシー・マーケティング目指すところ

アドボカシー・マーケティング目指すところ

アドボカシー・マーケティングが目指すところは、顧客のロイヤリティが最高に高まった状態の「アドボケイト(Advocate)」です。

マーケティングには「ロイヤリティのはしご」という考え方があり、顧客が企業に対してどのようにロイヤリティが高まるかを段階的に分析します。

アドボケイトは企業のマーケティング担当者かのように、自発的に商品の良いところや悪いところを発信する担い手です。

見込み顧客から顧客、リピーター、アドボケイトというはしごを登り詰めることで、アドボケイトは企業と強固な絆で結ばれるのです。

そのためにもアドボカシー・マーケティングで顧客に徹底的に注力し、長期的に良好な関係を築きましょう。

アドボカシー・マーケティング実施の重要ポイント

アドボカシー・マーケティング実施の重要ポイント

顧客のニーズを把握し改善する

アドボカシー・マーケティングの成功には、顧客のニーズの把握と改善が欠かせません。

改善を繰り返してより良い商品・サービスを届けることで、繰り返し自社を選んでくれると期待できるからです。

現在はインターネットが普及したおかげで、顧客からのクレームやフィードバックなど情報収集に困ることもないでしょう。

現状に満足せず顧客のリアルな声を参考にしながら、ニーズに応え続けられる関係性を目指しましょう。

アドボケイトを把握する

アドボカシー・マーケティングの効果を高めるためには、アドボケイトを把握することが重要です。

アドボケイトを把握する方法に、NPS(ネット・プロモーター・スコア)があります。

NPSとは企業やブランドに対する信頼度・愛着を、アンケートで数値化したものです。

「このサービスを身近な人に勧めたいですか?」といった質問を行い10段階評価で回答を求めて、顧客ロイヤリティを算出します。

顧客から直接フィードバックを受けられると、収益向上につながるマーケティング施策が明確になります。

顧客による発信を促す仕組みの構築

アドボカシー・マーケティングの効果を高めるためにも、顧客にレビュー・口コミの投稿を促す仕組みづくりが重要です。

例えば大手ECサイトやレビューサイトでは、商品の購入検討者が実際に購入した人に対して使い勝手や疑問点を質問できます。

レビューの投稿者に対してポイントを付与したりクーポンを発行したりすれば、発信が促され継続的な利用にも期待できるでしょう。

また、顧客同士で意見交換できるコミュニティフォーラムを開催すれば、顧客の口コミに対する関心がより高まるといわれています。

アドボカシー・マーケティングの事例|patagonia(パタゴニア)

パタゴニアの経営理念は「地球を救うためにビジネスを営む」であり、環境問題やSDGsへの取り組みを公表しています。

パタゴニアの具体的な目標は、次のとおりです。

  • 2025年までにバージン石油を原料とする素材をパタゴニア製品から排除し、環境に望ましい素材のみを使用する。
  • 2025年までにパタゴニア製品のパッケージすべてを、再生利用可能なもの、家庭用コンポストで分解できるもの、再生可能なもの、容易にリサイクルできるもの、にします。
  • 2040年までにパタゴニアのビジネス全体においてネットゼロを達成する

引用:環境的責任プログラム|パタゴニア

パタゴニアの環境保護活動の働きを受けて、共感した人たちはSNS上に共感メッセージを次々と投稿しました。

日本ではそれほど関心が高くないですが、環境保護活動への取り組みは世界的に支持されています。

パタゴニアは多くのファンを獲得した、アドボカシー・マーケティングの成功事例といえるのです。

「アドボカシー・マーケティング」にはCRMやSFAが必須?

「アドボカシー・マーケティング」にはCRMやSFAが必須?

アドボカシー・マーケティングでは、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)の活用が重要になります。

CRM受注後のコミュニケーションや関係性の構築をサポートするシステムのこと
SFA商談から受注までをサポートするシステムのこと

繰り返しになりますが、アドボカシー・マーケティングでは顧客と長期的に信頼関係を構築することを目的に、徹底的にサービスを提供します。

SFAで営業活動の進捗管理や分析を行い、CRMにはリピート購入促進や売上予測などを支援する機能があることからも、相性が非常に良いのです。

CRMとSFAで顧客情報をデータベース化・分析することで、効率的にマーケティング戦略を立てられるでしょう。

まとめ

アドボカシー・マーケティングの目的は顧客に徹底的に寄り添い、関係性を深めて企業のアドボケイト(支持者)になってもらうことです。

マーケティング活動を行う際は、以下のポイントを重視してみてください。

  • 顧客のニーズを把握し改善する
  • アドボケイトを把握する
  • 顧客による発信を促す仕組みの構築

現代のインターネットやSNSにマッチするアドボカシー・マーケティングを実施して、さらなる企業成長を目指しましょう。