今回はITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、リソース管理表の作成や運用に役立つツールとして注目されているWrike(ライク)について、実際の機能やメリット・デメリットを詳しく解説します。
本記事では、Wrikeのリソース管理機能の特徴から、導入を検討する際に知っておくべきポイントまで、最新の情報をもとにご紹介します。Wrikeに興味をお持ちの方、またプロジェクト管理ツールの選定にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
Wrike(ライク)とは?基本機能を理解する
Wrike(ライク)は、米国カリフォルニアで2007年にリリースされた、世界140ヶ国・20,000社以上で利用されているクラウド型のプロジェクト管理ツールです。タスク管理、プロジェクト管理、そしてリソース管理を一元化できる点が特徴で、チームのコラボレーションを促進するための多彩な機能を備えています。
Wrikeの主要機能
Wrikeは、プロジェクト管理に必要な機能を包括的に提供しています。
- タスク管理機能(リスト、ボード、ガントチャート形式)
- リソースビュー機能によるメンバーの稼働状況可視化
- タイムトラッキング機能による工数管理
- カスタムレポート作成機能
- 400以上の外部アプリとの連携機能
- プロジェクトの階層化とフォルダ管理機能
特に2025年2月のアップデートでは、タイムシート機能の改善やカレンダー機能の強化、AI機能の追加など、さらに使いやすさが向上しています。
Wrikeのリソース管理機能の特徴
Wrikeのリソース管理機能は、チームメンバーの作業負荷や稼働状況をリアルタイムで把握できる点が大きな特徴です。しかし、スキル管理やアサイン管理に特化した機能には限界があることも理解しておく必要があります。
リソースビュー機能
Wrikeのリソースビュー機能では、以下のような情報を確認できます。
- 各メンバーの現在の作業負荷
- プロジェクトごとの工数配分
- チーム全体のキャパシティ状況
- 作業時間の自動集計データ
この機能により、プロジェクトマネージャーは誰が多忙で誰に余裕があるかを一目で把握でき、タスクの再配分を迅速に行えます。ただし、メンバーのスキルレベルや専門性までは管理できないため、適切なアサイン判断には別の情報が必要になります。
Wrike Resourceアドオン
より高度なリソース管理を求める場合は、有料アドオンの「Wrike Resource」を追加することで、以下の機能が利用できるようになります。
- タイマー機能による作業時間の計測と自動集計
- 作業負荷の偏り防止機能
- より詳細な業務割り当て機能
- キャパシティ管理のためのチャート作成
Wrikeを導入するメリット
Wrikeを導入することで得られる主なメリットを、実際のユーザー評価をもとにご紹介します。
多角的なプロジェクト管理が可能
Wrikeの最大の強みは、同じ情報を複数の視点から確認できる柔軟性にあります。ガントチャート、カンバンボード、リスト形式、カレンダービューなど、チームの働き方や好みに応じて表示方法を切り替えられます。これにより、メンバー全員が自分に最適な方法でプロジェクトの進捗を把握できます。
充実したコラボレーション機能
Wrikeでは、タスクのコメント欄でやり取りしながら@メンションで通知を送ったり、複数名でのライブ編集機能を活用したりと、チーム内のコミュニケーションを円滑にする機能が豊富です。会話をアクションへ、アクションを成果へとつなげる仕組みが整っています。
豊富な外部連携機能
400以上のアプリとの連携機能が設定済みとなっており、既存のワークフローに組み込みやすい点も大きなメリットです。Microsoft Teams、Slack、Googleドライブなど、日常的に使用するツールとシームレスに連携できます。
リソースプランニングの効率化
リソースプランニング、タイムトラッキング、予算編成など、プロジェクト管理に必要な機能が内蔵されているため、現代のチームがより少ないリソースで多くの成果を上げることを支援します。進捗状況が一目で分かるため、遅れているタスクや負荷が高いメンバーを見える化し、チーム運営の効率を改善できます。
メリット項目 | 詳細内容 |
---|---|
視覚的な管理 | ガントチャート、カンバンボード、リスト形式など複数のビューで管理可能 |
コラボレーション | リアルタイムでのコメント、@メンション、ライブ編集機能 |
外部連携 | 400以上のアプリとの連携が可能 |
リソース管理 | メンバーの稼働状況と作業負荷の可視化 |
カスタマイズ性 | ワークフローの自動化、承認プロセス、リクエストフォームなどの設定 |
Wrikeのデメリットと注意点
メリットが多いWrikeですが、導入前に理解しておくべきデメリットや制約事項も存在します。
スキル管理機能の不足
Wrikeの最も大きな制約は、技術者のスキルマップ管理やスキルレベルの管理機能が限定的である点です。リソース管理機能では「誰がどれくらい忙しいか」は分かりますが、「誰がどのような技術スキルを持っているか」「どのプロジェクトに最適な人材か」といったスキルベースの判断材料は提供されません。
ITエンジニアを多数抱える企業やSES事業を展開する企業では、この機能不足が大きな課題となる可能性があります。
学習コストの高さ
Wrikeは機能が豊富である反面、初期の学習コストが高く、直感的な操作がしづらいという声も聞かれます。特に、複雑なプロジェクト構造を設定する際や、カスタムワークフローを構築する際には、ある程度の習熟が必要です。
コストの問題
Wrikeの料金体系は、無料プランから始まりますが、実用的な機能を利用するには有料プランへの加入が必要です。
- Free:無料(機能制限あり、有効タスク数200件まで)
- Team:ユーザー1人につき月額9.80ドル
- Business:ユーザー1人につき月額24.80ドル
- Enterprise:要問い合わせ
10名以上のチームで使用する場合、月額コストが1万円を超えることも珍しくなく、他のタスク管理ツールと比較してやや高額になる傾向があります。
日本語サポートの課題
Wrikeは海外発のツールであるため、日本語サポートが不十分な場面があります。また、日本国内での導入事例や知見がまだ少ないため、トラブルシューティングの際に参考にできる情報が限られている点もデメリットです。
パフォーマンスの問題
一部のユーザーからは、特にモバイル環境でのパフォーマンス問題が指摘されています。大量のデータを扱う場合や、複雑なプロジェクト構造を持つ場合には、動作が重くなることがあります。
デメリット項目 | 詳細内容 |
---|---|
スキル管理 | 技術者のスキルマップやスキルレベルの管理機能が不足 |
学習コスト | 機能が豊富なため、初期の習熟に時間がかかる |
料金 | 有料プランは月額9.80ドル〜と比較的高額 |
日本語対応 | サポートや国内事例の情報が限定的 |
パフォーマンス | モバイルや大量データ処理時に動作が重くなる場合がある |
Wrikeが向いている企業・向いていない企業
Wrikeの特性を理解した上で、どのような企業に適しているか、また適していないかを整理します。
Wrikeが向いている企業
- 複数のプロジェクトを同時並行で進めている企業
- 外部ツールとの連携を重視する企業
- プロジェクトの進捗管理とタスク管理を一元化したい企業
- リソースの稼働状況を可視化して効率化を図りたい企業
- ワークフローの自動化に取り組みたい企業
Wrikeが向いていない企業
- 技術者のスキル管理を重視するIT企業やSES企業
- スキルベースでの人材アサインを行いたい企業
- 業務経歴書や技術者スキルシートの管理が必要な企業
- 初期コストを抑えてシンプルに始めたい小規模チーム
- 日本語サポートを重視する企業
Wrikeのリソース管理機能を使いこなすコツ
Wrikeを導入する場合、以下のポイントを押さえることで、より効果的に活用できます。
タスクの粒度を適切に設定する
リソース管理を効果的に行うためには、タスクの粒度を適切に設定することが重要です。大きすぎるタスクでは正確な工数が把握できず、小さすぎるとメンテナンスが煩雑になります。1〜2日程度で完了できる粒度に分解するのが理想的です。
定期的な更新ルールを設ける
リソース管理の精度を保つためには、チームメンバーが定期的に進捗を更新するルールを設けることが不可欠です。毎日の朝会や週次ミーティングのタイミングで更新を習慣化すると効果的です。
カスタムフィールドを活用する
Wrikeのカスタムフィールド機能を活用することで、自社独自の管理項目を追加できます。ただし、スキル管理やアサイン管理を本格的に行うには限界があるため、専門ツールとの併用も検討すべきです。
スキル管理・アサイン管理に特化したfapiとの比較
Wrikeはプロジェクト管理に優れたツールですが、技術者のスキル管理やアサイン管理に特化した機能は物足りないのが実情です。ここでは、スキル管理・アサイン管理支援ツール「fapi(ファピ)」との違いをご紹介します。
fapiの特徴
fapiは、ITエンジニアや社員のスキル管理とアサイン管理に特化したクラウドサービスです。25年以上あらゆるIT業務を効率化してきた企業が開発したツールで、以下の機能を備えています。
- 技術者のスキル情報を体系的にツリー形式で登録・管理
- スキル、アサイン状況をもとにした候補者検索機能
- 業務経歴表の自動作成とExcel出力機能
- スキルマップ機能によるチーム全体のスキル可視化
- 見込み案件の候補者管理機能
- アサイン状況からの業務経歴への自動連携
- ISO対応を見据えた力量管理機能
Wrikeとfapiのすみ分け
Wrikeとfapiは、それぞれ異なる目的に最適化されています。
比較項目 | Wrike | fapi |
---|---|---|
主な用途 | プロジェクト管理・タスク管理 | スキル管理・アサイン管理 |
リソース管理 | 稼働状況の可視化に強み | スキルベースのアサイン検討に強み |
スキル管理 | 基本的な機能のみ | 技術スキルの詳細管理が可能 |
業務経歴書 | 機能なし | 自動作成・Excel出力可能 |
料金 | 月額9.80ドル〜/人 | 月額300円〜/人 |
日本語サポート | 限定的 | 充実した日本語サポート |
Wrikeはプロジェクトの進行管理やタスクの進捗管理に優れており、fapiは誰にどのプロジェクトをアサインすべきかの判断支援に優れています。両者を補完的に使用することで、より効果的なプロジェクト運営が可能になります。
まとめ
Wrike(ライク)は、プロジェクト管理とリソース管理を一元化できる強力なツールです。多角的なビュー機能、充実したコラボレーション機能、豊富な外部連携など、プロジェクトの進捗管理やタスク管理には優れた機能を持っています。
しかし、技術者のスキル管理やスキルベースでのアサイン判断、業務経歴書の管理といった、スキル管理・アサイン管理機能については物足りないとも言えます。特にIT企業やSES企業など、技術者の専門性やスキルレベルを考慮した人材配置が重要な企業では、Wrikeだけでは十分な管理ができない可能性があります。
Wrikeはプロジェクト管理には適していますが、スキル管理とアサイン管理をメインにお考えならfapiがおすすめです。fapiは技術者のスキル情報を体系的に管理し、スキルとアサイン状況を基にした候補者検索や業務経歴表の自動作成など、人材管理に特化した機能を備えています。次の記事ではスキル管理・アサイン管理ツールfapiについて詳しく解説しているので併せて読んでみてください。